インテリアのトレンドって?『アンティーク額縁』の歴史から思うこと
投稿日: 投稿者:長嶋晶

額縁の歴史は、古代までさかのぼるようです。
宗教画や壁画とともに発展し、建築の一部として存在していた絵画が、やがて移動可能な板絵やキャンバスへ変化していく中で、「額」という概念も広がっていったのだとか。
歴史や建築に影響されながら進化してきた額縁。
その“歴史”という言葉の中には、信仰や天災、美意識の変化、生きるために必要な衣食住、人々の心理や行動、争いなど、
時代ごとの大きな流れが詰まっているのですね。
その時代を生きた人たちが何を美しいと思い、どんな空間で暮らし、何を求めていたのか。
額縁は、そんな背景を静かに映し続けてきた存在なのかもしれません。
西洋では、金彩を施した華やかな木彫りの額が発展していきました。
教会建築が権威を象徴する美術品であるように、絵画をより荘厳に見せるための装置として額も進化していきます。
一方、明治以降の日本に入ってきた華やかな油絵と額縁。
畳・床の間・障子の日本文化にとって、それらは少し強すぎたのかもしれません。
木を基調とした和室空間に合わせるように、西洋スタイルの額縁からは華やかさが少しずつそがれ、木地を活かした控えめな彫りや、黒や茶を基調とした静かな額へと変化していったようです。
現在でも、絵画や額縁は室内に飾られるため、建築様式·建築方法·建築材などの変化に多くの影響を受けているとのこと。
それを知った時、額は建築と同じステージにいる存在なのだと感じました。
インテリアって何だろう。
そんなことを考えます。
建築やインテリアの流行は、
社会環境の変化、技術の進歩、生活者の意識向上などを複雑に絡め合いながら、
特定の人々の会議により作られていくもの、だそうです。
2026年のトレンドとして挙げられていたのは、
・グリーン、ブラウン、ブルーなどのリラックス感ある色
・バイオフィリックデザイン(自然との共生)
・Japandi(日本と北欧のミックス)
・柔軟に使える空間設計
など。
読んでいて、確かにそう感じるなぁ、と妙に納得してしまいました。
トレンドの最前線に乗りたいわけではないけれど、
きっと私たちは、日々目にする視覚的な情報に少しずつ影響を受けています。
何を買おうか。
どこの店に行こうか。
どんな空間を心地よいと思うか。
無意識のうちに、その時代の空気を吸い込みながら選択している。
そう考えると、今、自分が木彫りの額や、控えめな陰影のある古い木枠に惹かれることも、今の空気と無関係ではないのかもしれません。
額縁は、建築や暮らし、美意識の変化を受け止めながら姿を変え、その時代ごとの空間に寄り添ってきた、静かな美術品のようだ、と感じています。

