家具だけでは完成しない。ヴィンテージウォールアートという提案。
投稿日: 投稿者:長嶋晶

アパレル什器や店舗什器を扱う中で感じるのは、空間は『機能』だけでは整はないという事です。その場の印象をつくるのは、音や光、そして余白のような空気なのではないでしょうか。
人の目線と同じ高さで、最も印象に残るのは実は壁面なのかなと思います。
壁面の余白を上手につくること。
その一つの提案として、uragamiではヴィンテージのウォールアートをご紹介しています。
全国の支社から、国内外のさまざまなアートが集まります。
自社で開催する古物商向けオークションで、数十万円で取引されるような有名作家の作品から、名前は知られていなくても一点物として魅力のある作品まで、本当にさまざまです。
その中から私たちが選ぶのは、インテリアとして気軽に取り入れられ、暮らしや空間に自然と馴染む作品です。
検索すれば、高価な作品も、有名な作家も、人気のある作品もすぐに分かる時代です。憧れの人が勧めているものを選ぶこともできます。
でも、そういう情報ばかり追いかけていると、自分の基準は案外簡単にぶれてしまうものです。
実は私自身、情報に流されて大きな失敗をしたこともありますし、自分を嫌になった経験もあります。
リラックスして過ごす空間に、誰かの評価だけで選ばれたインテリアが並んでいると、それは自分ではなく、誰か別の人の空間のような気がしてしまうのです。
だからこそ、たくさんの家具や雑貨、作品に触れて、「自分は何に惹かれるのか」を知ることが大切なのだと思っています。
自分のことを知ることは、実は一番難しい。
周りをよく見て、人を思いやれる人ほど、自分より誰かの価値観を優先してしまうことがあります。
だから私は、自分の感覚で「好きだ」と思える一つに出会えたときの喜びを、大切にしてほしいと思っています。
デザイナーズ家具ではなく、古いアンティーク家具を多く扱うuragamiには、そんな感覚を持ったお客様が多くいらっしゃいます。
ブランドや作家名だけではなく、質感や空気感、その場に置いたときの雰囲気で選ばれる方が本当に多い。
ご自身の「感覚」が、これまでの経験の中で何度も上書きされ、少しずつ研ぎ澄まされてきたのだろうな、と。
「これが好き」と迷いなく選べることは、きっと積み重ねてきた経験があるからこそ。その姿に、いつも敬意を感じています。
ヴィンテージの面白さは、ある人にとって不要になったものが、別の誰かにとって価値あるものになるところにあります。
アートも同じです。
感じ方はそれぞれで良い。
もちろん、多くの人が良いと感じる作品には、それだけの理由があります。
そこに左右されず、ただ自分自身の感覚で「これが好き」と思える作品に出会えたときの喜びは特別です。
誰も知らない宝物を見つけたような気持ちになります。
毎月たくさんのアートが集まる弊社ですが、その中から私が選ぶ基準は、
額縁の質感が美しいこと、マットの状態が良いこと。
検索してもなかなか出てこないような、少し面白い作品であること。
すべてが揃った作品は決して多くありません。
だからこそ、フレームを交換したり、マットを入れ替えたり。
作品を生み出した作者への敬意を忘れず、その価値がきちんと伝わる価格を意識することも大切にしています。
家具や什器を選ぶとき、ぜひ壁面の余白にも目を向けてみてください。
誰かの「良い」ではなく、自分の「好き」を選ぶこと。
それだけで、空間はもっと自分らしくなります。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、インテリアを楽しめるようになると、暮らすことや、生きることまで、少しずつ生き生きと、カラフルになっていくような気がします。
そして、自分で選んだ一枚のアートは、毎日の景色だけではなく、自分自身のことも彩ってくれる。
私は、そんなふうに思っています。

